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3歳児 おはしのはなし(お箸の話)

園だより

1学期、入園して初めてのお弁当を経験した日、帰宅した年少組のAちゃんはお母さんにこんな話をしたそうです。

みんな、お箸を使ってお弁当を食べていた! 私も、今度からお弁当の時は、お箸を持っていく!!」

みんなお箸なの?? お母様、驚かれたことでしょう。(実際は、お箸を使っている人数の方が少ないです)この時、Aちゃんは、ご家庭でお箸を持つ練習をしているところで、まだ“にぎり箸”になってしまうこともあり、「そんな状態で、お弁当に持たせて大丈夫なの?」と心配されたお母様からご相談をいただきました。

Aちゃんにとっては、とてもいいチャンスだと思いましたので、持たせてもらうことにしました。初めてのお弁当の時、Aちゃんの心の中はどんなだったのかな?と予想してみます。

★うわー、あの子、お箸を使ってる! すごい!! 私だって出来るもん!!

★幼稚園のたんぽぽ(年少)組になったんだもん、私もお箸使えるもん!!

★お箸って、カッコいいなー!!

 

3歳児にとって、出来るか出来ないかが問題ではなく、「やりたい」が生まれることが大事なこと。周りからの刺激を受けて「お箸を使いたい!」という気持ちが生まれることは素晴らしいなと思いました。出来なかったらサポートすればいい。この時期、「上手に美しく持てるか」ということよりも「やりたくなるか。やろうとするか」を大事にしたいと考えました。

 

お弁当の際もAちゃんの様子を見に行くと、いつもおいしそうなお弁当をぺろりと平らげていました。

 

Aちゃんが、“握りばし”で持つことが続いていた時、お母様は

「このまま、この持ち方で食べる癖がついてしまったらどうしよう・・・」

と心配されていました。

まずは、スプーンの下手持ちを徹底させ、お箸も下手持ちから始めるといいそうです。そんな経過をたどり、ついに夏休み、箸を持てるようになったのだそうです。Aちゃんのお箸をめぐる一連の姿から、学ぶものがあります。保護者の方の連絡帳の抜粋を共有させてもらいます。

『箸の件

夏休み初日の夕食時、子どもの箸のもち方に変化が起きました。箸をグーではなく、自らバキュンの手でもち食事を始めていました。(☚下手持ちのことです)

まだ箸のあいだに中指が入っていないのですが、子ども自身、自分の変化を感じられた様子でした。夏休み中盤には

「お母さん、スプーンないでしょ。わたしも要らないから」と言い、箸で食べ始めることが増えました。

休み中、幼稚園で覚えたと思われる指の体操?手遊びをしているのを見かけました。また以前、室内遊びはごっこ遊びが主だったのですが、休み中は、とにかく折り紙、工作をしたがる様子でした。

今回の一連のできごとを通じて、子どもはこうやって幼稚園で刺激を受け見守られ、自分に必要な力をつけていくんだ、と親が実感し、安心する気持ちにさせてもらいました。』

 

幼児期は、お箸やハサミに限らず、身の回りにある道具や生活行動に必要な動作を、獲得している最中です。体を大きく動かすことや身体の細部に神経を張って意識して動かすなどのあらゆる動作を繰り返しながら、筋力を養い、運動機能やバランスを取ることを身につけていきます。園庭でたくさん動いたり、日々の着替えなどを繰り返していく中で自然と身についていくように、保育の中で遊びながら発達を促していきます。

 

今回、Aちゃんは、まず「やりたい!私も!」の気持ちを持てた事と、箸を使って動かす、つまむ、口に運ぶといった必要な体の機能を獲得することが出来たことで、お箸が使えるようになりました。そして、手先を使ってより細かい動作が自在に出来るようになったことで、折り紙や工作がますます好きになってきたのでしょう。

 

何かが出来るようになっていく、子ども達の日常はうらやましいです。こういった「やりたい」の気持ちを持ったその時を大事に、小さな自信をたくさん積み上げていってほしいと願っています。

 

「やりたい。やってみたい。わたしも。ぼくも」が生まれる保育を目指したいです。

(写真は3歳児年少組の遊びや活動の様子より)

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