たんぽぽ組 音楽ワークショップ
園だより |
先月末、音楽を専門に研究されている今川恭子先生をはじめとする大学の先生方6名が来園し、たんぽぽ組の子どもたちのためのワークショップがひらかれました。
はじめに全員で集まって「シンキングボウル」という民族楽器に出会いました。それはお碗のような形をした不思議な楽器で、ふつうに叩いても、いい音は鳴りません。しかし、先生がお碗状の楽器のふちの部分を撫でるようにバチでこすると、ふわ~っと漂うような音が響くのです。その音の不思議な感じをみんなで共有したところで、「音ってなんだろう?」という先生の問いかけがあり、いろいろな「音」に出会うワークショップが始まりました。
「3つの部屋」として3種類の活動がありました。子どもたちも3グループに分かれて「3つの部屋」を一つずつ、体験しました。それぞれの部屋での活動を紹介します!
「楽器の部屋」・・・様々な楽器がありました。「音は、聴くだけでなく、見ることや触ることもできるよ」という先生の言葉に、「?」「え?」といった反応の子どもたち。トライアングルを、鳴らす前にくるくると持ち手の紐をひねり、回転させながら音を鳴らしてくれます。確かに、トライアングルの音が見えるみたい!真似してくるっと回ってみる子もいたそうです。太鼓をお腹の前で持って、鳴らしてもらうと、お腹に振動を感じます。木琴の近くに手を添えて音を鳴らすと、手に音を感じます。シンバルを頭の上で叩いてもらうと、頭に音のシャワーが。音の異なるシンバルを2つ用意してくださっていたので、「こっちが好き」など、それぞれ好みを言葉にする姿もありました。実際に体験してみると、“音を見る・触る”といったことを、スッと素直に感じとっていた子どもたちでした。
「声の部屋」・・・自分たちの声で遊びました。先生と子どもたちとで輪になって座り、向かい合っての活動です。手にのせた自分の「声」を相手に届けるしぐさをしながら、声のやりとりを楽しみました。声をおにぎりに見立てて、「ほっ、ほっ、ほっ」といいながら握り、「ぽーん」と相手に届けます。それを受け取った子が、また声のおにぎりを握って別の子に届けます。「次はうめぼし味!」など、子どもから出てきたイメージも混ぜ込みながら、やりとりをしていきました。
また、歌詞が追いかけっこになっている「おおきなうた」という歌で、お互いに歌を届け合う活動もありました。「おおきな(おおきな)うただよ(うただよ)・・・」 と、交互に歌います。歌うときに相手に届けるようなしぐさもあったので、子どもたちにとってもイメージが湧きやすく、歌を届け合うことが心地よいと感じた活動でした。
「耳の部屋」・・・よーく耳を使って、いろいろな音を聴きました。長い筒を耳に当ててもらい、どんな音がするか聴いてみました。ちょっと不思議な音がしました。子どもたちは、感じたことを、「なんか聞こえた」「わからない」「飛行機みたい」「ブーンって音」など伝えてくれました。それから、紙コップの底から出た糸に、スプーンがくくられているものもありました。紙コップを耳に当て、先生がスプーンを指で弾くと、とても綺麗なスプーンの音が糸を伝って耳に届きました。また、子ども同士で長い糸電話を耳に当ててどんな音がするかを聴きあったりもしました。楽器だけでなく、身の回りにあるものからも様々な音が聴こえることを体験することができました。
こんな風に、貴重な、おもしろい体験をすることができました。身の回りにあふれている「音」ですが、「音ってなんだろう?」ということを、身体で、心で感じていた子どもたちです。感じたことを言葉として表出できなくても、一人ひとりが感じたことがあるはずです。 保育後、ワークショップをして下さった先生方から「年少さんの子どもたちが、ここまで耳が育っているとは!」「とても素直に受け取っていました」「イメージも豊か!」など、うれしい感想もいただきました。
今川恭子先生とは共同研究をさせていただいており、今年度で3年目となります。また、今年度は3学年それぞれの学年に合わせたワークショップをしていただきました。これからの保育においても、日常の中で五感をたっぷり使った遊びや活動を通して、子どもたちの豊かな育ちを目指したいと思います。